21CA

SamSara

知れば知るほど





事業の評価

 アジア開発銀行で長年アジア各地の開発事業に関わってこられたマニラ在住の政策局の方とお話しする機会がありました。開発事業について意見を伺うと次のようなことをおっしゃったのが印象に残っています。「長年フィリピンをはじめ、アジア各地の地域開発事業に取り組んできましたが、多くが正直いって失敗と言えるでしょう。短期間では事業の成否を判断することはできず、事業の成果というものは、一人の人間がわずかな地域に力を絞って、かつ生涯かかってやっと見いだすことができるものではないか、と今考えます」。

ミンドロでは...

 21世紀協会の事業地ミンドロひとつ例にとっても、過去現在にいたるまで多くの国内外のNGOがマンニャン族援助事業を行ってきたのを目にしていますが、一つも模範となる事業を見いだせません。事業の多くが短期間のものであり、しかも「人を育てる」ことよりも「結果」重視なため、収穫高など目に見える数字だけに満足し、事業完了を急いでしまいます。その結果、事業完了に伴う資金とスタッフの引き上げと同時に全てが「元の木阿弥」と化しています。

甘かった予測

 21世紀協会も当初は10年もあれば大きな成果を得られ、事業完了を宣言できるであろう、と考えていました。事実、事業地の収穫高だけをみれば毎年確実な伸びを示しており、順調にも見えます。しかし、表面的成果と裏腹にますます文化的相違をどう乗り越えるかが事業の要となって来ました。マンニャンの人々を知れば知るほど、文化の違いが明らかになり、わずかな成果を得るのにどれ程の対話と努力が必要かを認識するようになりました。

深まる絆

 この意味で、現状は当初の目標値からはるか遠くにあるといえます。しかし、事業地でのマンニャン社会や人々との絆は確実に深いものになってきており、世代交代と共に飛躍的に事業の成果が開花することが期待できるようになりました。もとより、奨学金事業と地域コミュニティーとの連携、奨学金事業と識字教育事業の協力関係など、事業はますます総合化に向かって歩み始めています。非常に限られた地域の開発事業ですが、各事業が一つの円環をなせば、マンニャン社会の総合開発のモデルとして広く地域に浸透していくものと信じます。


(川嶌寛之)
《サンサーラ》 20号 1998.10.1

前へ前へ 次へ次へ
21世紀協会ホームへ 《サンサーラ》目次へ contact us
21世紀協会ホームへ 《サンサーラ》目次へ ご意見、ご感想、資料請求



(c) 21st Century Association 1998