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パクパク村
西ミンドロ州サンタクルス郡

パクパク村

パクパク村(西ミンドロ州、サンタクルス郡)

部族:マンニャン族、アラガン部族、一部にイラヤ部族

人口: 85人(16世帯)

耕地面積: 5ヘクタール

アクセス:国道から徒歩一時間。

地味:やせている

気候:乾期(1月〜4月)は季節風による突風がすさまじい。

問題:

川(アムナイ川)と山に挟まれ、耕地が少ない。
砂地が多く土地がやせている。
耕作の動力であるカラバオ、農機具の不足
十分な農業技術を持たない。

将来性:

村人は大変勤勉である(400メートルに及ぶ灌漑水路を短期間で完成)
灌漑による二期作が可能。
野菜栽培、用水を利用した魚の養殖など土地の多角利用


パクパク村の人々と

パクパクの歴史


パクパク村が生まれるまで

 パクパク村の歴史ははじまったばかりである。1999年1月村人がこの地に移住するまで、パクパクはアムナイ川のさらに上流に住むマンニャン族の通行路ともいえる土地で、雑草以外には何もなかったところである。21世紀協会の事業地の一つシプヨ村へはこの地が丁度中間点にあたり、アムナイ川の水量が多いときなど唯一土の上で足を休めることができる場所でもある(マンニャン村への道のりはほとんどが川沿い、あるいは川の中を進まなくてはならない)。村の北側にはすぐ勾配のある山がせまっており、また、東から流れてくるアムナイ川が地形に沿って南側に大きく膨らみながら蛇行しているため、雨期に川の通行が不可能となると山道があるとはいえさながら陸の孤島である。  乾期にこの地を訪れるとまずその強い風に驚かされるだろう。現地語でアミハンと呼ばれている季節風の強さは度肝をぬかれる。日本の台風並の強風が連日吹き荒れているのだ。しかもこの地は季節風の通り道にあたる川岸にあるため、風を遮蔽するものは何もない。

 この地は一時期タガログ人の牧場に利用されていたこともあるらしい。しかしおそらくこうした自然環境が原因なのだろう。あまり長くは続かなかったようである。

蔓延する飢え

 こうした決して環境に恵まれているとはいえない小さな土地に10世帯以上もの村人が移住してきたのにはそれなりの理由がある。そもそも村人のほとんどはアムナイ川の上流、パクパク村から徒歩でさらに数時間のところにあるマナゴ村出身の人たちだ。山あいに開かれたその村の生業は焼き畑による陸稲の栽培、そして根菜類の採取、狩猟である。しかし近年の異常気象や環境破壊は30世帯を超える村人の胃袋を満たしきれなくなったようだ。この村のみならず、未だ人里離れた山奥に住むマンニャンの人々も近年口をそろえたように、「山の恵みが少なくなった。陸稲はねずみが食い荒らしてしまう。飢えがひどくなった。」と訴えている。今までの生活スタイルでは飢え死にしてしまう、という切迫感が移住の大きな動機である。しかし、それだけならば、何も里近い狭い土地に移住しなくてもよいはずである。実は移住にはもうひとつの動機があるのだ。マナゴ村は比較的21世紀協会の事業地シプヨに近く、村人達の交流も活発である。シプヨ村では数年間の農業指導が実り今では稲作技術も身につけ、毎年確実に食料を増産できるようになった。この成果に触発されたのがもう一つの大きな動機なのである。現に彼らがパクパク村に移った当初から稲作技術の指導を含む援助依頼のコールは今日まで続いている。厳しい現実と未来への希望、この二つが大きな移住の動機である。

灌漑水路にかける夢

 この村人の農業に託す期待が「口先」だけのものでないことは、この目で確かめることができる。それは彼らが移住早々にして完成させた灌漑水路である。狭い土地を有効に使うには何としても水路の敷設が必要であることはだれもが感じるところである。しかし、それを短期間でしかもシャベルも労力も不十分ななかで完成させたことは大きな驚きだ。その全長400メートルにも及ぶ水路を見るとき、彼らの未来にかける心意気を十分うかがうことができる。

 実は移住にはもう一つの理由がある。子供達に教育の機会を与えたい、という夢である。「山奥に住んでいては全く教育のチャンスが無い。里に少しでも近いところに住めば、いずれそのチャンスがあるかもしれない」。これまでの生活スタイルでは生きてゆけなくなりつつある。そして未来を切り開くのは教育であることを彼らも直感的に悟っているのかもしれない。

矛盾

 パクパク村のすぐ下流には広大で肥沃な農地、牧場が広がっている。かつてはマンニャン族の生活圏であったところだが、気の弱い彼らは、他の島からの移民者が増えるにつれ山奥へ移住していった。しかし今、長年住んできた山々に異変が起きている。自然破壊が進み山の恵み、自然の恵みが激減し飢えが慢性化してきたのである。肥沃な低地はすでにタガログ人に奪われ、彼らに残されているのはパクパクのような狭くやせた土地だけだ。パクパクの歴史ははじまったばかりである。しかし、ここに至るには長い受難の歴史があったのだった。



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