SamSara ミンドロ体験記 -naoko-

フィリピンで思ったこと
〜フィリピン・ミンドロを訪れて〜
(2001.1.31〜2.11)
高田尚子
海辺で子供たちと遊ぶ。右から3人目の白いTシャツを来ているのが尚子さん

1月31日からの11日間、池田理事長、瀧理事、そしてこれからボランティアスタッ フとして現地に加わることになった国金さんと共にフィリピンを訪れました。今回の その滞在中に私が感じたことを、これからお伝えしたいと思います。



人の「立場」

 今回の旅行では同行させていただいた三人の方々の他にも、川嶌現地理事やボラン ティアスタッフの紫垣さん、現地人スタッフ、元奨学生のボランティアスタッフ、そ れに奨学生たちと接する機会が多くありました。生まれ育ってきた境遇や現在おかれ ている立場の異なる、本当にたくさんの人と出会うことができました。様々な人たち と接していくなかで、あるいは私が出会った様々な人たちがそれぞれに人間関係を築 いているところを見ていくなかで、人の「立場」というものについて考えるようにな りました。

 立場について考えるようになったのは、紫垣さんと奨学生たちはいい関係を築いて いるな、と思ったのが始まりでした。それは単に仲がいいという事ではなく、両者の 関係には秩序があると思ったのです。奨学生たちにとって紫垣さんは、面白くて大人 よりも話しやすい身近な存在ではあるけれども、それでもやはり協会のスタッフで、 口うるさくてどこかすこし窮屈な、彼等にとっては上の人間なのではないでしょう か。多くの人が毎日一緒に暮らしていくためには、秩序を保つためにある種の上下関 係は必要だと思います。そしてよりよい上下関係はおそらく上に立つ者の自覚がない と成り立たないと思います。

 紫垣さんは、奨学生たちとどう接するべきなのか、奨学生たちに対する自分の役割は何 なのか、などの自分の立場について自分なりの考えをきちんと持ち、そのうえで彼ら と接しているのではないでしょうか。紫垣さんがきちんと上の人間としての役割を果 たしているから、両者の間の秩序が存在するのだと思いました。

「らしく」振る舞う コーヒーの木の下で

 紫垣さんたちの関係を見ていて私が思ったこと、それは、相手とよりよい人間関係 を築くためには、自分と相手との関係を把握し、自分がどういう立場にあるのか認識 したうえで相手と関わっていく必要があるのではないかということです。これは特 に、ある種の上下関係がある場合にいえる事だと思います。うえの人間はうえの人間 「らしく」振る舞う、したの人間はしたの人間「らしく」振る舞う、つまりある意味 その立場を演じる必要があると思うのです。例えば大人と子どもの関係において、大 人は子どもの前では必要以上に大人らしくあらねばならないと思います。私たちは普 段無意識のうちに、ゴミのポイ捨てをしていたり汚い言葉を遣ったりしていることが あるかもしれません。大人同士で一緒にいる分にはまだ許されることかもしれません が、子どもの前ではこれらに注意を払わねばならないと思います。なぜなら、大人と いうのは子どもにとって人生の先輩、社会の中でどう振る舞うべきかの見本とならね ばならない存在だと思うからです。人生の先輩として、普段よりも礼儀正しい言動を するよう心がける。大人であらねばならない場面では、それらしく振る舞うべきだと 思うのです。大人が大人として子どもに接することで、初めてお互いの間の秩序が保 たれるのではないでしょうか。

 フィリピン訪問の体験文において、なぜ人の立場について論じるのだと思われるか もしれません。しかし実際に現地での生活に触れてみて、21世紀協会のような国際援 助に関わる組織ほど、人の立場というものを意識すべき組織はないのではないかと私 は感じました。

目指すものの違い

 21世紀協会には立場の異なる、本当に様々な人々が関わっていました。例えばひと くくりに現地スタッフといっても、日本での長年住み慣れた生活を一時捨て、無給で も働きたい日本人ボランティアスタッフ、同じボランティアスタッフでも自分たちの 生活のための活動に関わる現地人ボランティアスタッフ、21世紀協会はあくまでも仕 事先で、雇用主である現地人スタッフ、様々なスタッフを統括する日本人スタッフ、 それぞれの立場は四者四様です。そして彼らが活動するためには日本における援助活 動も必要不可欠であるし、すべての活動の代表者である池田理事長の存在も忘れては なりません。さらには受益者であるマンニャン族の人たちがいます。これだけ様々な 立場の人たちが協会の活動に関わっています。しかし、ただ単に多種多様な人々の組 織だから立場をより意識すべきだと思ったわけではありません。問題は、多種多様な 人々の集まりのうえに、組織の目的が具体的ではない点にあると思うのです。例えば 企業なら、その目指すものは利益をあげることで、はっきりと目に見える成果があり ます。しかしながら21世紀協会の目指すものは、マンニャン族の生活向上という、目 に見える成果をなかなか期待できないものす。また目に見えた成果が期待しにくいう えに、漠然とした目的でもあるで、具体的にどうなりたいのか、その思いも十人十色 だと思います。このように明確な目標が定めにくいなか、組織のなかでの自分の役割 を見失わないためには、組織の中で自分はどういう位置にいるのか、その立場を常に わきまておくことがとても大切だと感じました。自分の立場を客観的にとらえること ができて初めて、そこで自分が 何をすべきか冷静に考えることができるのではないでしょうか。

 最後になりましたが、今回の現地訪問でお世話になった、池田理事長、川嶌現地理 事を始めとする全てのみなさんにこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。本 当にありがとうございました。

2001.2.26



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