マンニャン族農村開発事業

奨学生の出身村で彼等の文化と自然を守る中での農業技術の取得、村作り、社会の活性化を図る。また、奨学生事業と相互補完関係にもあります。

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マンニャン族農村開発事業図


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事業背景 マンニャン族総合開発プロジェクト事業図へ

稲の生育状況を見る(シプヨ村にて)

 そもそも少数民族問題は、開発のあり方や環境破壊問題と切り離して考えることはできない。問題を要約すれば、現代社会の"外"、あるいは社会的に疎外された少数民族が一方で世界経済システムに巧みに組み込まれていること、そして弱者として常にそのシステムの犠牲者の立場にあることである。途上国の関心はGDP成長に直接貢献する都市部を中心とした工業開発であり、農村はうち捨てられる。ゆえに山間部に住む少数民族は最も開発の恩恵から遠く離れており、そればかりでなく、学校教育さえ受ける機会に恵まれず、国民意識も極めて希薄である。しかし、こうした地方にも工業製品は大きな魅力して入ってくる。文字も読めず、数を数えることすら知らない彼らが化学肥料やテレビ、耕耘機をローンで購入したとすればどういう結果になるだろうか?市場経済はこうした弱者を保護するシステムを持っておらず、現金収入の無い彼らはたちまちにして先祖代々の土地や大切な家畜を失う結果となる。さらに工業開発の波は彼らの住む山間部でも森林伐採や鉱山開発といった形で確実に浸透し、彼らの生活環境を著しく変えていく。もともと豊かな自然環境の中で狩猟/採集、簡単な焼き畑を生業にしてきた少数民族は農業技術を持たず新しい環境に適応できない。市場経済の進入や環境破壊は民族絶滅の危機を意味し、また周辺の生態系を著しく破壊してゆくのである。

 20世紀を通して推し進められたこの破壊と搾取に基づく世界システムを変えるには、教育の普及と、人類共存、共栄のための新しいモデルを創案することである。「地方の時代」というテーゼは人類共通であり、「農業の復興」、あるいは「農村社会の復権」は21世紀の課題である。

 21世紀協会では、フィリピン、ミンドロ島に住む先住少数民族マンニャンを対象に、学校教育の普及を図るとともに、彼らの住む山間部の村で新しい農村社会のあり方を模索してきた。事業内容を一言でいえば、教育を中心に据えた少数(先住)民族の総合社会開発である。その目的は何度も触れてきたように、

  1. 農業技術の取得による飢えからの解放と経済的自立
  2. 経済的自立と教育の推進による精神的自立
  3. 民族の誇りの回復と自然環境保護への積極的取り組み、
  4. グローバル化する世界の中での新しい地方社会モデルの創出

 そして具体的事業内容として、子供を中心にした就学促進のための奨学金事業とこれから述べる農村開発事業を行ってきた。農村開発事業は奨学生の出身村で自然と彼らの文化を守る中での農業技術の取得、村づくり、マンニャン社会の活性化を図るものであり、奨学金事業と相互補完関係にある。

 農村開発事業はホリスティック・ファーミング(総合農業)(後述)という方法論のもと、これまで三つのステージに分けて進めてきた。すなわち、農村開発のためのハードの供給(ステージ1)、農業技術の習得(ステージ2)、そして組合組織による「村づくり」(ステージ3)である。

 現実にはこの三段階は多分に重複しているものの、現在パイロット地区として事業を進めているカラミンタオ村はステージ3、シプヨ村はステージ2、シプヨ村の水平展開の新事業地パクパク村はステージ1の段階にあると認識している。また、彼らの特性や文化を十分に活かした「むら」が一般フィリピン社会にインパクトを与えながら組み込まれれば、より広範囲での新しいマイナリティーとマジョリティーの共存共栄社会が誕生するはずである。(ステージ4)。



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共同農地での作業(カラミンタオ村)

a. 総合農業(ホリスティック・ファーミング構想ステップ2) マンニャン族総合開発プロジェクト事業図へ


概要: 森林乱伐などによる自然破壊のため、焼き畑や採取といった伝統的生活スタイルを脅かされているマンニャンの人々に、米・野菜・果樹栽培、家畜などの土地資源を有効に利用した農業の促進。
事業地: 西ミンドロ州サンタクルス郡シプヨ村、パクパク村
受益者: 各村 計75世帯
期待される効果: 飢餓の解放、精神的自立、人間教育
事業責任者: Joeffrey Saet


b. 村落形成事業(ホリスティック・ファーミング構想ステップ3)  マンニャン族総合開発プロジェクト事業図へ

概要: マンニャン族の文化に適合した経済的自立を目指した新農村モデルの創設
事業地: 西ミンドロ州サンタクルス郡カラミンタオ村
受益者: 同村35世帯、奨学生23名
期待される効果: コミュニティー・オーガナイザーを派遣し、協同組合を組織し、充実化させ、奨学生用も含めた食糧自給を可能にすれば、村の自立へとつながる
井戸を掘る

c. 衛生環境整備事業 マンニャン族総合開発プロジェクト事業図へ

概要: 生活用水のための井戸の設置、医薬品の提供、医療ケアを行なう
受益者: サンタクルス郡マンニャン族全員
期待される効果: 自立にとって重要な健康の維持
事業責任者: 川嶌 寛之 他7名




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