SamSara

地域に生きる


マンニャンの母子

地球の片隅で

 21世紀協会は創立以来フィリピンの辺境にあるミンドロ島のそのまた片隅の小さな町サンタクルスの山奥深く分け入ったところにあるマンニャン集落のコミュニティーと関わってきました。多くのNGOが複数の国を広く浅く支援するのに対して、21世紀協会はたった一つの国、一つの地域に集中して活動を13年にわたって展開しています。なぜこれほど長い時間、同じ地域で"だらだら"と援助を続けているのかと批判されることがあります。

顔の見える援助を

 また、どうしてこのようにローカルな仕事をフィリピンの現地の人々に任せないで、私たち先進国のNGOが直接やっているのかとも言われることがたびたびあります。フィリピンの問題なのだから、フィリピン人が解決すればいいではないか。現にフィリピンには多くのNGOがあります。先進国のNGOのするべきことは、直接村に乗り込んで村落開発に手を貸すことではなく、途上国のNGOに力をつけさせ、後押しすることではないか、そういった意見が今大勢を占めていることも事実です。

 しかし、そもそもNGOが村に入り込んで援助をしているということは、住民が自分たちの問題を自分たちで解決できないからです。ならば、先進国のNGOであっても、途上国の国内NGOであっても、「外部」団体が入り込むことに変わりがないではありませんか。それどころか、同国人のエリートが「貧しくてかわいそうな人々に愛の手をさしのべる」といった図式が展開されることが多々あります。こういうケースは害しかもたらさないと言っても過言ではありません。  まだあります。わたしたちは、直接途上国に出向き、地域の人々と暮らしをともにすることで、開発はもちろんのこと、普通なら知ることのない人々と接し、また、マンニャンの人々も一生見ることがないかもしれない日本人と暮らすことになります。こうして、様々な国の人々が援助の舞台で交流することは、なににも代え難い人と人のつながりを生むのです。今、危うい世界情勢の中で、先進国と途上国の人々が手を携えてよりよい未来を目指して働くことの意義は、単なる開発パートナーとして手を携えるという以上のものがあります。

お客さんから住人へ

 こうして21世紀協会は西ミンドロ州サンタクルスに居を据え、じっくりとマンニャン族という滅びかけている少数民族の教育を中心としたコミュニティー作りに取り組んできました。外部の人間に対して極端に警戒心の強い人々ですから、なかなか心を開いてくれません。開いてくれたと思っていたのは錯覚だったこともあります。今でも人々と接するたびに驚きの連続です。それは、人々の方でも同じなのかもしれません。

 それでも、奨学生と一緒に暮らしている間に培われた信頼関係は、1,2年技術指導をして引き上げるような援助では決して得られないものです。もちろん、農業技術や漁業技術だけが求められている場合、それでいいわけですが、21世紀協会のように基礎教育がまったくない人々を対象としている場合、何もかも最初から手をつけなければならないため、時間もお金もかかります。その代わり、互いの存在がとても身近なものになります。わたしたちは、もはや、客人ではありません。地域の住民として、さまざまな困難に対して、人の問題としてではなく、自分たち題としての解決に当たっているのです。

(池田 晶子)
《サンサーラ》29号 2003.1.1初掲


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