SamSara ミンドロ体験記 -kekopi-




ミンドロに行って、自分自身を見つめ直す

(5月18日〜6月1日)
21世紀協会東京事務局ボランティア 早稲田大学4年 浅海圭子

 浅海さんと現地スタッフ


 私はこの滞在の前に1年間ほど21世紀協会の東京事務局でボランティアをしてきた。月に一度のミーティングで21世紀協会の事業について学び、少しずつ詳しくなってきたつもりだった。しかし、実際に現地に行ってみてからは、やはり自分の目で見て、自分で体験しなければ、わからないこともたくさんあったのだと実感した。同時に、実際に自分が体験したことによって、今までよりもさらに事業に対して理解を深めやすくなったとも感じている。

 私がミンドロ訪問の際に、注意して観察してきた3つの点について、自分なりに得た答えをここに示したいと思う。

1.現場で私は何ができるのか?

 まずは、「国際協力をしたいという情熱だけでは、何もできない」ということを強く感じた。マンニャンの村を訪れた際、まず自分は全く必要とされていない感じがした。みんなそれぞれの毎日の生活があり、私がそこに入り込む余地がない。マンニャン族の人がそこにいる。でも、私は部族の言葉も話せない。タガログ語も話せない。言語が話せたところで、何を話しかけたらいいかわからない。「私はこの人たちに対して、一体何をしたいんだろう?何ができるんだろう?」という大きな壁にぶち当たった。

 私は漠然と中学3年生から、将来は国際協力の世界で働きたいと思っていた。情熱だけは持っているけれども、それがなかなか具現化されないでいた。そして、その自分の考えの甘さが、まさにマンニャン族と対面した際に露呈してしまった。

 やはりインターンに参加するとしたら、自分なりの切り口を持って参加しなければならないと思う。「何がしたいのか?」それはいろいろな場面でいろいろな人から何度も聞かれる一つの問いだが、やはりこの問いを乗り越えない限り、自分が理想としている国際協力の形は実現できないと思う。

2.ミンドロではどんな生活を送るのか?
ミンドロ事務局での生活は以下の通りである。起床は6時。7時から全員でそろって朝御飯。8時からタガログ語でのミーティング。ミーティングで確認された担当の仕事に皆取り掛かる。12時頃に昼食。午後は日によってインターンの田畑さんによる職業訓練が行われていた。18時ごろ夕食をとり、睡眠が必要な私は22時には寝るように心がけていた。私が滞在した際に奨学生が春休み中で村に帰っていたため経験することがなかったが、子供たちがいる場合は、夕食の後に公文(Kumon)の指導が行われているそうだ。

◇水浴びの恐怖体験◇
 毎日の入浴は、隣の家の水をバケツで運んできて、それを頭からかぶるというものである。冷水で髪の毛をシャンプーし、冷水で体を洗う。私にとってこの体験は苦行のほかの何でもなかった。心臓のある左側の部分に冷水をかけるたびに、毛細血管が収縮するような「ドキッ」とした感覚に襲われる。日本の生活では、入浴とは疲れを癒すために行うものだが、ミンドロでは日ごろの悪行を反省する修行の場のように思えて仕方なかった。

◇洗濯物との戦い◇
 おそろしく時間がかかるものとして、「洗濯」が挙げられる。要領が悪いと全工程に2時間くらいかかってしまう。ミンドロではよく汗をかくので、ズボンもこまめに洗わなくてはならない。そして、もちろん全てが手洗いである。隣の家の井戸を借りて、盥(たらい)に水を汲み、洗濯板で石鹸をあわ立てて洗う。脱水に魂を込めて強く絞らないと、すぐに乾かない。生乾きだとありえない悪臭を放つ。そして雨季の場合には、突然の雨に洗濯物が濡れないように注意しなくてはならない。「あ、雨が降ってきた」という誰かの親切な号令とともに、みんなが自分の洗濯物に向かってダッシュする。あれだけ苦労して脱水したものが、雨なんかに濡れてもう一度洗濯しなくてはならなくなるなんて、絶対に許せん!とばかりに、急に興奮する自分が怖かった。

 そのほかのことについては、私は何の問題もなく適応していた。ご飯もおいしかったし、寝る場所も住む場所も私には十分といっていいほど快適だった。マンニャンスタッフもみんな親切ですぐに打ち解けた。その言葉を何となく疑ってみたいあなたは、ぜひ一度自分の足でミンドロに行ってみるといいと思う。

3.インターンを申し込むためにどんな準備が必要か?

◇英語・タガログ語の必要性◇


 現地での活動に必要なものは、英語とタガログ語である。現地事務所のマンニャンスタッフとは、英語で会話することができる。しかし町のフィリピン人には英語が話せない人がいて、その場合はタガログ語が必要である。マンニャン族においては英語が通じない。タガログ語を話せる人もいるようである。部族の言葉もあるようだが、文字を持たない文化と聞いているので、これについては現地で覚えるほかに方法がない。現地では必ず直面するはずの語学の壁を乗り越える根性が必要だと思うし、現地に行って何をするかに伴って生じる、必要となる語学レベルを満たせるように事前に自分で準備することも必要だと思う。

◇自分のやってみたいプロジェクトを見つける◇
 21世紀協会の事業は教育・保健衛生・農業の3つの柱によって成り立っている。自分が何を専門にしたいのか、どの事業に中心的に関わりたいのかというはっきりとしたビジョンを持っていくことが、インターンをするにあたり、2年間の時間を有益に過ごせる一番の要因となる。そういう自分自身、まだはっきりとした目的が見つけられていない。これについては今後の私の課題でもあると思う。

4.最後に…

◇日本人としての私◇
 ミンドロに行ったことによって、「開発」に関して深く考える機会を得た。途上国を開発する際に、「どういった国の発展の仕方が望ましいのか」と考えるたびに、それならば私自身、自国の発展や開発に関してどう思っているのかを問い直すようになった。日本は、経済的に豊かな国である。しかし、過剰な豊かさに疑問を感じることも多い。だからといって私はそういった疑問に対して何か行動を起こしてこられただろうか?今はその質問に対して「NO」としか答えられない自分がいる。

21世紀協会に関わるようになってから、社会問題に無関心にならずに、誰でも積極的に自分のできることから行動していくことができるという勇気を、理事長はじめ21世紀協会に関わる多くの人生の先輩方から学んできた。

まずは自分の生き方を見直す。そして自分の国のあり方を見直す。そして世界に目を向ける。今、自分のできる範囲で行動を起こす。私はそういったスタンスを大事にして人生を生きていこうと決めた。このように生きていく延長線に私の目指す国際協力があって、いつかそれにたどり着けるのだと信じている。

最後に、現地理事川嶌さん、現地スタッフ田畑さん、そして現地事務所のマンニャンスタッフの皆さん、暖かく迎え入れてくださりどうもありがとうございました。また理事長の池田さん、社員の伊藤さん、出発から帰国までいろいろとお世話になりました。無事に2週間の滞在を経て帰国することができ、お世話になった皆様に感謝しています。本当にありがとうございました。

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