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2002年度事業計画  (PDF:747KB)


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21世紀協会事業図

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はじめに

 昨年9月11日に世界貿易センターで起こったテロ事件は世界を文字通り震撼させた。ベルリンの壁崩壊以降グロバリゼーションは順調に成長し、市場経済を合言葉に世界経済は過去10年高度成長を経験したが、連続テロ事件はその足元を掬うことになったのである。市場経済原理は、「カネ、モノ、ヒト」が自由に移動できるダイナミズムを持っているが、「テロ」もこの原理を利用して自在に暗躍する時代となったのである。イギリスのある経済学者などは、この9月11日をもってグロバリゼーションは崩壊した、と宣言したほどである。

 しかし実際にはグロバリゼーションはすでに既成の事実となりつつある。インターネットの世界的普及、IT産業の興隆は情報の共有を著しく広げ、すでに人々の生活実感になりつつあるといって間違いない。コンセンサスによる欧州共同体(EU)の誕生、ユーロ通貨の実質的流通は世界の一部で起こっている事であるとはいえ、その未来に投げかける影響は大きい。むしろ貿易センターテロ事件は、経済主体のグロバリゼーションに対する警笛であると考えるべきであり、北側諸国のエゴが牽引するグロバリゼーションから、真のグロバリゼーションへ向けての転換を促すものでなくてはならない。テロ事件の教訓のひとつは、最貧国はテロ組織の温床になりやすいということであり、世界経済のひずみ、ますます分極化の進む南北問題を無視して人類の未来はありえないということである。

 弱者の声はテロばかりではない。昨年11月、カタール、ドハで行われた世界貿易機構会議では、ブラジル、インド、南アフリカをはじめとする南側諸国の連帯が大きな力を発揮し、関税問題など北側諸国に大きく譲歩させる結果となった。第三世界の声が大きくあがったのは、チトー、ナゼル、ネルー時代以来のことである。真のグロバリゼーションに向けての南北の対話は確実にはじまっているといっていいだろう。

 真のグロバリゼーションとは、経済のみならず、弱者を守るセーフティー・ネットの整備をはじめとする世界的法秩序の確立、生活安保の確保、ガバナンスの世界的向上を無視してはありえず、その土台としての教育の普及は必至である。国連人権宣言を読むまでもなく、人は教育を受ける権利を有し、一国の政府がその国民の教育だけを考える時代は終わった。教育の普及、自由の増大は万人の課題であり、万人の責任である。

事業の概要

 アフガン戦争終結後に誕生した新政府閣僚会議の内容は注目に価する。戦後復興事業の第一に学校教育があがっていたからである。20年に及ぶ戦火ですっかり荒廃した国を再建する手だてとして、教育の復興が真っ先にあがったのは偶然のことではない。長らく続いた恐怖政治、独裁政治の経験は、教育が経済活動の原動力になるばかりではなく、人が人として生きていくために必要な「自由」、「人権」といったものと「教育」が密接に関わっていることを肌で感じ取ったからに違いない。

 21世紀協会の事業地フィリピンミンドロ島でも、「教育」は「人権」「社会正義」と密接に関係している。フィリピンは16世紀にスペイン人による殖民地化がはじまって以来全国的にキリスト教化がすすんだが、ここミンドロ島は海賊活動の拠点であったこともあいまって、また蛮族(非キリスト教徒)が住む島として入植が遅れ、現代までフィリピンで最も開発が遅れた島である。島全域に生活圏を持っていた先住民族マンニャンは、現代にいたるまでその多くが国民意識も持たないまま、アウトカーストとして著しい差別に苦しんでいる。近年農地を求めて急増する周辺島からの入植は、焼畑、狩猟採取といった半遊牧生活を営んできた彼らの生活圏を急速に奪い、民族絶滅の危機に拍車をかけている。こうした危機は、彼らのほとんどが学校へ行く機会に恵まれず、字も書けないことと深く関係している。現代のようにますます複雑化する社会の中では、字が書けないことは社会参加への道を閉ざされたことに等しく、彼らの原始的な生活にたいする偏見も相まって人権は無視され続けている。病院では特別に不衛生なマンニャン族専用の病室をあてがわれ、乗合バスではしばしば車内乗車を拒否されるありさまである。また、選挙時の立候補者による不法行為は目に余るものがある。選挙の意味もわからず、字も書けない彼らを脅迫と少量の食べ物によって集団買収することはわたやすいことである。

 21世紀協会では過去10年以上にわたって、西ミンドロ州サンタクルス郡に住むマンニャン族の子供たちを対象に奨学金事業を行っている。マンニャン族の生活する山間部にはほとんど学校が無いため、共同生活をしながら町の公立学校に就学させる事業の他、山間部でも手作りの学校を経営し、マンニャンの子供たちの識字率向上に努めてきた。また、入植者による開拓、不法伐採により激変する生活環境の中で、慢性の飢え、しいては民族存亡の危機を生きるマンニャン族に持続的な農業を普及させることで「飢え」からの解放のみならず、健全な自立の道を模索してきた。フィリピン社会の文字通り底辺を生きる彼らの問題は、第三世界の農村開発における普遍的問題を包含している。近代以降の都市優先、国家優先、輸出産品優先の経済開発は、どの開発途上国にも見られる現象であるが、これらの政策は、地方の多様性や伝統を抹殺し、中央と地方の間に「搾取と依存」の関係を構築し、都市と地方間、持つ者(haves)と持たざる者(have nots)の分極化を著しく促すこととなった。フィリピンも他の途上国の例にもれず、輸出産品重視の農業、機械化、アメリカ型の農業を推し進めてきたが、資本も技術も持たない農民はかえってますます貧困に陥り、農村は疲弊してしまっている。ましてや、マンニャン族のように貨幣経済原理も知らず、読み書きもしらない先住民族はひとたまりもない。協会ではマンニャン族の間に教育と持続的農業の普及を図りながら、強いては先住民と地域住民が共存共栄できる社会の模索、地方に再び多様性が蘇り、真のグロバリゼーション実現の結果としての地方文化の復興をめざしている。

2002.3.15

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