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Iriairin




                    東ティモールの森林
                  
入会林
 日本には伝統的に「入会地」、「入会林」なるものがありました。入会地とは、ある範囲の森林、原野、あるいは漁場を公のものとし、ある決まった範囲の住民が共同で利権を持つ慣習的な地域で、その権利を入会権と言います。入会地は薪、肥料のための落ち葉などの原料、マグサその他の採取に利用され、一方、地域住民は入会地の手入れを入念にしてきました。
戦後、農地改革によりそのしくみが崩れたことがその後、山林が荒廃する原因となっていると言われています。村々は共有の林を失ったため、山林の手入れは土地所有者の責任となり、木材価格が低下してからは所有者も間伐や草刈などていねいに山を手入れすることができなくなったのです。

Iriairinプロジェクトを提案
 さて、21世紀協会も加盟しているJANARD(農業農村開発NGO協議会)では、かねてから東ティモールでプロジェクトの実施を模索して来ましたが、日本伝統の入会林の考え方を東ティモールの森林作りに導入してはどうかと提案し、受け入れられました。村単位で入会林を定め、そこに植林を実施します。植林、メンテナンスはそのコミュニティーの各家族が担当し、それに携わった人々が入会林を利用する権利を得るしくみです。各「Iriairin」予定地では現地NGOの協力を得てワークショップを実施し、入会林の有用性や利用法などを普及させます。

 植林プロジェクトはなかなかゴールが見えず、成果が出にくいため、一時的な植林のブームが過ぎれば見捨てられることが多いのですが、住民とともに森を作り、森から得られる資源を将来とも住民が管理する権利を担保することで、森を守ることが住民自身の利益となるような仕組みをつくりあげ、失われた森林を回復させようというものです。こうした「入会林」のしくみを全国的に広げて、法制化までねらいます。その名もIriairin運動。

ィリピンの入会林制度
 実は、フィリピンにはコミュニティー主導の森林管理法があって、入会林に似た制度が法制化されています。ところが例によって法律はあっても実効が伴わず、20世紀初頭には70%あったフィリピンの森林率はいまや7%にまで落ち込んでいます。マンニャン族の居住する地域においても不法伐採業者が銃器を持って侵入し、木を根こそぎ持って行ってしまいます。

 JANARDとして東ティモールで行うIriairinプロジェクトは協会事業地のミンドロにも適用できる普遍性を持っています。東ティモール各地でこの「入会林」を普及させることで、森林が破壊され、農業用水の不足する現状を変え、さらに同国の食料不足を解決する足がかりにすることを目指すとともに、その先例をミンドロの森林作りにも適応できる日が来ることをめざしています。 


                                   (池田晶子)

《サンサーラ》36号 2005.12.10初掲


[参考]

JANARD(農業農村NGO協議会)

コミュニティーフォレスト(森川悠太のミンドロレポート)
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